社会福祉法人として
図書館への独自の取り組みとデザイン

デザイン事務所在籍時はバブル景気だった。退職後、1年間海外遊学、帰国し独立。すぐに木の家具をデザイン・開発する機会はいくつかあったが、正直なところあまり積極的になれなかった。そんな時、ある図書館で手にした1枚のチラシがきっかけで社会福祉法人埼玉福祉会さんと出会った。現場から求められているにもかかわらず、デザイン、価格など適した製品が殆ど無かったのが図書館向け木製閲覧椅子。特に公立小中学校の図書室は木の書架、木のテーブルがおかれているにもかかわらず、価格の安さと丈夫さで、一昔前の金属製食堂椅子が導入されることが多くなっていた。今の日本に座り心地の良い図書室に適した木の椅子が少ないことに大きな疑問を持つと共に、是非取り組みたいと申し出た。

関連リンク:社会福祉法人 埼玉福祉会

『社会福祉法人 埼玉福祉会とは』

江口

お付き合いが始まってもう15年ほどになりました。埼玉福祉会さんは、理事長を先頭にいろんなことにトライするとても面白い社会福祉法人です。

村田

うちは図書館事業と介護ショップやデイサービスなど介護事業を二本柱として事業運営しています。実際社内に身体障がい者を中心として雇用し、われわれ健常者が営業など外面的な部分で、健常者と障がい者が一体となって事業を運営している社会福祉法人なんです。文字のフォントを大きくした大活字本をつくったのが、図書館事業館に関わるきっかけです。

江口

大活字本は35年ぐらい経つわけですね。

村田

初期ですよ。埼玉福祉会イコール図書館の仕事をしている会社っていうイメージはあるんですけど、やっぱり埼玉福祉会って聞くと、まず第一に「大活字本の埼玉福祉会さんなんですね」って。
出版社のイメージが強いんですよ。そこから認知されてきて、本を保護するフィルムであったり、図書館向け家具であったり、図書館システムであったり、図書館に関するありとあらゆる商材をカタログに設けて。
全国にダイレクトメールを送って、その反響営業でやってる会社なんです。

なるほど。図書館ソリューションというか、図書館用品で総合カタログとしてまとめているっていうことなんですね。

村田

そうです。用品カタログとは謳っているんですけど、実際ソリューションとしてはこういうかたちで。
あと司書の資格を持ったスタッフを抱えていて、大学や専門図書館に出向して運営もしてれば、データ整備などソフトの部分も提供しています。
その中で、図書館の新築、改築、改修のときに、私や国重は設計、家具担当なので、レイアウトプランを作ったり、イメージ図を描いたりして、ゼロからトータルでレイアウト提案をして、システムも提案すれば、本の整備データ、配架までを含めてトータルに仕事をさせてもらっている会社なんです。

印刷がきっかけと思うと、ものすごい幅の広がりというか(笑)。

国重

入り口から出口までっていうふうに、ここで紹介しています(笑)。

人材の派遣なんかも初めから考えの中にあったものなのですか?

村田

それがどっちかっていうとスタートなんです。
公共図書館で本を検索したいなっていうとき、パソコンで検索するじゃないですか。そういうものを、入力する業務が図書館業界ではあるんです。書誌データ入力。そこから図書の事業としてはスタートしてます。
さらにデータよりももっと先がカバーをしたりする装備です。図書館で不特定多数の方が使うので、サランラップみたいなフィルムが貼ってあるじゃないですか。その装備事業が最初です。

国重

それを、図書館から本を預かって、うちでラベルとかカバーをしてまた戻すという。それをやってる間に、じゃあこの商品を売ってみたらどうだろうっていうことから販売が始まったんですね。だから家具は全体の流れからいうと、割と新しい部類に入るというか。着手、後のほうですよね。

もともと身体障がい者の方の雇用という面では、それは初めのコンセプトの中にあったと。

村田

それはもちろん。この会社はそれが発起ですから社会福祉法人っていう法人格なんです。

江口

この事業の書誌入力っていうのは、障がい者の方がやられてるわけですよね。

村田

言語として、日本語だけじゃなくて英語、中国語、韓国語、アラビア語とか、いろんな特殊言語を使って入力をするんで。大手の書店からできないものに対して引き合いが来るっていう。

江口

じゃあそのアラビア語などの語学ができて、入力できる人がやるっていうことですか?

村田

そうです。そこはすごい強みなんですよ。結局用品だけだと、価格競争の世界に入っちゃうじゃないですか。じゃなくて、図書のソフトも一緒にご提案しますよっていう。 ほかの会社も、いろんな分野持っていると思うんですけど、ただ総合的に持ってる会社っていうのはたぶん図書館業界の中では数少ない。一応オンリーワンって言っています。

江口

どんなふうにそれがふくらんできたのか非常に興味がありました。あと図書館自体の変化もいろいろあるだろうなと思うんですけど。

村田

そうですね。ちょうど日本の図書館が、新しい方向に向き始めたときと同時にこのカタログができました。同時進行のような感じですね。だから開かれた図書館っていうことで、どんどんどんどん公共図書館なんかも活性化していく。今は学校図書館も活性化してきていますから。うちの商材はそれに合っているんですよね。全部で今4200ぐらいアイテムがあります。でも、いっぺんにやったわけじゃなくて、やっぱり一つ売ってきて一つ終わったら一つっていう。書架がやっぱり難しかったんですけどね。
書架って難しいし、特に椅子などはなんかのときに怖いっていうのがあったので。だからそれは慎重だったし。オリジナルの椅子を作るにはやっぱり素人じゃできませんから。そこで江口さんとの接点が。

江口

たまたま、でした。

村田

これも偶然といえば偶然なんですけども、タイミングがすごくよかったと思うんです。

江口

いやいや。理事長は「必ずやるから」っていうことを盛んに言ってたので。
私が以前アルバイト先で図書館関連家具の設計をでやってたのが、22、3年ぐらい前なんですよ。たぶんその頃が大型図書館の建設が終わった時期なんじゃないのかな。

村田

そうですよね。たぶん70年代からすごかったと思うんですよね。大きめの図書館が建ったのは。 80年代後半でだいたい出そろっているというか。

江口

そうですね。そのへんがちょうどバブルのときと重なっているんですけど、それ以降っていうのは小型になっていくとか、もしくはただ本がたくさんあるだけではないようなことをやってったりとかっていうのが90年代後半ぐらいから始まっていって。私がそれこそ福祉会さんとやり始めたのがたぶん90年代後半ぐらいなんです。で、そのときには製品を中国で作り始めることをもうやり始めたときなので。いわゆる日本に少し中国製のものが入ってきて。重厚な図書館家具っていうのも、少なくなってきて。
少し変わってきたんですよね。理事長はアメリカなんかの図書館にも行かれてましたよね。アメリカの図書館っていうと、いわゆるビジネスとして独立したりする人のためのサポートをしたりとか。

国重

ビジネス支援とかですね。最近でこそこっちでもありますけど。

江口

そんな米国の図書館の話もあって、これから日本の図書館も変わっていく機運があった。あとコーヒー、お茶が飲めるような、そういう図書館が出てくる。

村田

ほんと今図書館も変わってきて。複合施設的な建物が多いですよね。図書館だけじゃなくて、カフェスペースとか。逆にそういうことをヒントとして商品開発をしたり、そういうこともありますよね。

江口

子育て支援みたいなものと一緒になったりとかね。

村田

カタログは今4号なんですけど、1号から4号にわたってそういった商材も増えていってますね。おむつ交換台だったりとか、ベッドであったり。

江口

だからちょうど大きく変わってるときに、オリジナルを福祉会さんでやり始めたんじゃないのかなと。

村田

たぶん1号はこの半分ぐらいのページ数で。

国重

什器の色味とかもだんだん明るくなったり、椅子なんかもパステルとかを今回使ってますけど。
だんだんそういう感じになっていってる印象はありますね。

江口

だいぶ違いますか。最初の頃と比べると。

村田

たぶん江口さんがアルバイトで設計していた当時の家具とは、もう今は全く違うと思います。
当時は素材としてはすごくいいと思うんですけど、重厚じゃないですか、色味にしても。

江口

そうですね。図書館家具はどっしりしてるのがいいという共通の考えがありましたね。

村田

物はすごいいいんで長持ちはしてますよね。だから未だにやっぱり見ますよね。

江口

そうですよね。

村田

高くても長持ちだといいんですよね。だからそんな簡単に変えるってものじゃなかったと思うんですよね。それがどんどん安くていいものが増えてきた。あと江口さんとの関係で今思い出したんですけども、ちょうど江口さんと出会ったころに、理事長がすごいデザイン性っていうのにこだわり始めてまして。

江口

そこでもタイミングがちょうどよかったと(笑)。

国重

特に北欧の図書館。いわゆるハイブリットですね。スチールの枠に木、これを実際に物を仕入れて、これと同じようなものをうちが作れないだろうかっていうことで。ハイブリットワゴンなんか、まさに昔ながらの図書館にはないタイプの什器ですね。色も明るいですし、軽快ですし。しかも展示用の家具なので、もう本当に昔からのどっしりしていて、近寄りがたい感じの図書館とは違うイメージの商品だと思います。
ただ収納するだけのものじゃなくて。だからやっぱり表紙が見えるっていうのが、やっぱりいいと思うんですよね。

江口

これも確かに、理事長のこだわりが強かったですね(笑)。

『変わっていく図書館』

江口

図書館の今の色味であるとか、値段もそうですしね。2号、3号はかなり大きく変わったんでしょう?図書館予算も減ってきたっていうのもあるんですか?

村田

予算も減ってきた。

江口

世の中に中国製品が増えて、なんで図書館の家具だけはこんなに高いんだ、みたいな(笑)。

国重

それもそうですし、あとはだいたい本棚が入っていて、今これからさらに欲しいものって探したときに、今までの図書館よりももっと人に来てほしいっていうことから軽快で明るいイメージで、あとは展示ができるようなのとかがやっぱり受けてきてるのかなという印象はありますね。

江口

なるほど。そうですね。

村田

たぶん江口さんがアルバイトで関わられたときの図書館っていうのは閉ざされた印象。図書館イコール自習室とか勉強するところとか。あとじっくり本を読むっていうような印象だと思うんですけど、今はカフェスペースとか、子どもとお母さんが気軽に入って絵本を読んだりとか、寝転んだりするカーペットとか畳とかもありますから。お店と変わらない雰囲気なんですよ。
ツタヤさんの会社と図書館、公共施設が一体となって作ってる図書館もできつつあるんですよ。それがいいか悪いかは別として。ですから、ほんとに図書館イコールサービス業みたいな形で捉えてる図書館員もたくさんいらっしゃいますから。いち公務員っていうよりも、ほんとに民間とどう渡り合っていけるか。今図書館で民間委託してるところもたくさんありますからね。

なるほど。もう民間に初めからお願いしてしまって。

村田

そうなんです。そこでサービスの質がよくなったっていうことも聞きますし、かえって専門性がどうなんだっていう声も聞かれるんで。
それがいいか悪いかは賛否両論のところは確かにありますね。ただ、本当によくも悪くも図書館界は変わりつつある。

江口

勉強する、調べる場っていうところよりも、例えばDVDとか音楽が試聴できたり、アメリカとか北欧のやり方みたいなものは、独立支援、要するに市民のいろんなことに対してサポートすると。子育てのこともそうだけど、そういうこともサポートするということも入ってきたりとかして。それによってデザイン、家具も、サービス自体も変わってる最中っていう感じですね。

村田

そうするとデザイン性っていうのを問われると思うんです。で、うちはデザイナーの方もいらっしゃらなかったので。理事長が求めていたものと江口さんの登場が合致したんだと思いますね。

江口

そうなんですね。

国重

やっぱり現場の声から、こういう感じのものが欲しいっていうのが上がっていて、それを形にするところまでが社内だけだとできないものですから、そこをお手伝いしていただいています。

村田

椅子などはやっぱり素人が作れるものじゃありませんもんね。

江口

提案するときはやはり図書館の専門的な部分っていうのは現場の声を聞かなければ分からない部分があります。あと、ちょうど成長期なんですよ、小中高性って。だからいつも椅子の高さに迷います。

国重

小1から小6までを1個の椅子で対応するのは難しいですよね。

江口

そういうところは現場の声を聞きながらだし。色についても、理事長は割と明るい色を選びますよね。

国重

それだけ今の図書館、暗いところがまだまだ多いので。できたら1個置いて雰囲気変わると(笑)。選定も当たっていましたね。ブックトラックについては。あれは他社にない、怖くてできないところをやっちゃったみたいな。黄色は思い切っていると思います。ハイブリットワゴンも同じ色なので。

江口

当時、これを選ぶときに、何種類か私が色のチップで選んで。まさかこれを選ぶとは思わなかったぐらいで(笑)。こんなに明るくていいのかなって思った。

村田

今までブックトラックは本を運ぶための什器だったんですけど、理事長のコンセプトとしては、一つのコーナー作りのための家具として使ったらどうかっていうことで、この色を出してきたんですよね。そしたらやっぱり、特に小学校、中学校、高校とか公共図書館から反響が大きかった。

国重

逆にこの色にしたことで使う場所が増えた、ワゴン以外の用途にも使えるようになった。最近になってようやく一番ベーシックな色を出したぐらいで。今までずっとこの2色をやってた(笑)。
あとは色の濃い、深緑とかだったんですけど。うちは割とパステルですね。丸いスツールとかもパステルですよね。迷ったら明るいほうを選ぶ。

江口

最近は学校自体も教室の壁が、廊下がなくなったり、閉じこもった箇所をなるべく少なくするように変わってきているので、必然的に図書館も変わってきていますね。オリジナルを始めた当時はまだ角材で作ったような椅子が普通に売られてた。それで提案したらいいかなと思ったんです。もう少し柔らかいというか。

国重

そうですね。今回作っていただいたのもいろいろ、コストの面で難しいところは頑張っていただきながら、トータルでは柔らかい感じになるように。

江口

それでも一般のよりも強度にはかなり気を使っています。学校では掃除するのに机の上に上げたり下げたり、しかもそれを子どもがやりもするし。

国重

そうですね。かなり乱暴に使う想定を。

江口

過去に意外な壊れ方をしたことがあったんで。強度試験、随分やりましたね。

『図書館、司書の存在』

村田

アメリカや北欧かは、引っ越しの条件として図書館が近くにあるところだそうです。まず図書館があるかないか、あったら見に行くっていう。とても町の中の図書館っていうのが中心なんですよね。だからなんかあれば相談に行っているんですよ。企業のビジネスのこともそうですし。子育てのこともそうですし。そういう流れが何年後かに日本に流れてきてるんです。
だから理事長、早めに早めにそういう先取りっていって、仕事先取りしないといけないっていうことで、アメリカの図書の勉強したり、実際に行って見てきたりしてますし。近くにあれば借りやすいし。子どもが居ればやっぱり、絵本とか先に、早めに読ませてあげられたりするんで。
ただですからね。最近はDVDとかCDも借りられますし。映画会も読み聞かせ会も、いろいろと企画多いですからね。

国重

あとコンビニ図書館。無人図書館みたいなものも。今、貸し出しも、手続きも無人でできるんですよ。自分で本持ってきてかざすとバーコードを読み取って、勝手に持っていけるっていうのがありますからね。ただ逆に便利になった反面、もっと専門性を求める。もっとこういう本を探してるんだっていうことで、レファレンスという専門家が居て「こういう本はどうですか」っていうのをいくつか出してくれる人も居ます。

村田

その相談事に図書館員を求めてくるっていう。だから図書館員はやっぱり、本のことだけ知ってるだけじゃ駄目なんです。本の中身も全部知らないと。だから相当、だから専門性は必要ですよね。いろんな分野において。人生相談も受けるみたい。高校の学校の司書の先生なんか、結構生徒から。昔は保健室の先生だったかもしれないですけどね。図書館の先生に相談を持ちかけるとか。

国重

図書館登校がありますからね、今。
あとは、今まだパソコンにはできないあいまい検索というか。だいたいこういうあらすじの本だったんだけどなんだっけ、みたいなのを探してくれたりですとか。かなりいろんなことを司書さんはできます。

江口

なるほど、それはスゴイ。

国重

なんとなくこういう感じの話が読みたいんだけどないですか、とか。ハッピーエンドでなんとかでとか。内容で指定して、じゃあこれいいかなとオススメをしてくれると。でもそれがほんとのレファレンスですよね。だから本当は人が居るとそういうことができるんですけど、かなり多様化してますよね。無人のところもあれば、そういう方が活躍してるところもあるしで。色んなニーズがありますね。
家具の側から、そういった使い方を提案するというのもあるので。逆にこれを置くとこういうふうにこのスペースを使うことができますよっていう提案を含めて家具を作ったりすることもありますよね。
だから、スツールで言ったら、このスツールを置くとくつろぎコーナーが新たに作ることができるとか、そういう発想自体ないところもありますので。その家具を置くことで新しい使い方を提案するっていうこともあります。

村田

だから単発の商品の販売じゃなくて、一つの空間としてトータルで提案する。
その中に江口さんがデザインした家具があり。お客さんの中でそこまでイメージっていうのはやっぱり難しいですよね。
うちとしては、やっぱり空間コーディネートっていう部分も含めてトータル提案をした中で家具も一緒に提案をしていく。ですから今後も江口さんとは長いお付き合いになると思うんですけど(笑)。

江口

いえいえ、ぜひ。

『面白い色々な図書館の可能性』

村田

ヨーロッパ行かれたときに図書館回ってたのって江口さんじゃなかったでしたっけ。

江口

図書館回りましたね。 ヨーロッパで古い図書館とか、学校の図書館とかそういうところを見て回りましたね。日本の図書館っていうのは、住宅と同じでまず狭い。狭いならではので空間デザイン、もしかしたら少し暗く落ち着いたところっていうのもいいなと。わざわざちょっと暗い落ち着けるようなスペース。

村田

大人の隠れ家みたいな。

江口

そうそう。隠れ家図書館みたいな。

国重

そうですね。本好きの方々はそういう雰囲気を求めてることもあるので、だからそういうのも残しつつ、あるいは全然興味のなかった方は明るくて入りやすいのを求めてたりするので、もういろいろ提案してあげるっていう感じです。

村田

そうですね。ですから江口さんって、そういうふうに海外行ったときに図書館回ったり、それからこうやって記事を読まれて勉強されたりしてるんで、今のお話はすごくわれわれは刺激になりますよね。

江口

やっぱり面白いんですよね。これからどういうふうになってくのかなっていうのも楽しみですね。今後も理事長は、様々なトライをされるんでしょうね。

村田

だから大変な面と。

江口

大変な面(笑)。

村田

このカタログを作るまでは、相当いろんなことをやりながら積み重ねてきた成果ですからね。突然いろんなことが動き出したりしますけども。

社風としても前向きな、前のめりな感じがありますね。

村田

そうです。

国重

そうですね。前のめりです(笑)。

江口

ちょっと不思議に最初思ってましたしね。いわゆる私がイメージしていた社会福祉法人と。

そうですね。僕も今日来てものすごい不思議な感覚になってまして。実際国重さんみたいにインテリアコーディネーターっていう肩書の方が社の中に、福祉という名の付く会社の中に居るっていう時点でちょっと、特殊なイメージなんですよね、正直なところ。だいたい福祉関係だと外部の江口さんですとか、デザイナーさんに頼んでいろいろやっていただくっていうのが中心だと思うんですけども。
内部の方にコーディネーターさんが居て、その方とデザイナーさんと組んでやっていくっていうスタイル自体があるんだなというのが、ちょっとびっくりしましたね。

国重

うちは本当に開発が好きなので(笑)。内部でできることは私とかが手伝ってやるんですけど、やっぱり足りないところを江口さんに補っていただいてやってる感じですね。その間に立ってるんですけど。
やっぱりニーズを吸い上げて、だいたいこんな形っていうところまでは社内でやるんですけど、そこから例えば椅子だったらちゃんと壊れないものにするですとか、ワゴンでしたらちゃんと車輪が回るものにして(笑)、力学的にきちんとしたものにしていただくっていうのはみんな江口さんにお願いして。
あとはデザインもアドバイス、もちろんいただくこともたくさんありますし。ちゃんとした商品にするためにお手伝いしていただいてますね。

村田

理事長自身、社会福祉法人イコール寄付金をもらう、援助してもらうっていうことが大嫌いなんですよ。われわれの競争相手は民間会社、民間の会社と切磋琢磨しながらお互い競合してるんですね。

国重

ここに書いてある通り社会的にコストを掛けない、自立した障がい者福祉を達成するために、こういったいろんな事業をやってる。前のめりでやってるってことですね(笑)。

村田

われわれ現場の人間は、お客さんから見積依頼とか問い合わせが来たときの競合は、民間会社ですから。そこで提案力であったり、製品のデザイン力であったり、もちろんコスト、価格力であったり、そこで勝負してるんです。別に社会福祉法人だから買ってくださいっていうことは全く考えてないんです。

国重

社会福祉法人だからなんとかっていう思ってる方がたぶん。

村田

居ないよね。

国重

もちろん使命としてはあるんですけど、感覚としては完全に民間と同じように。

クリックで
詳細を表示

クリックで
詳細を表示

『開発への高い意識』

江口

理事長室。あそこはすごいですもんね。

国重

開発室ですから(笑)。

江口

資料だらけで。

村田

でも落ち着くんでしょうね。たぶん。きれいなっちゃうのを嫌がるんだよ。

江口

いや、ほんといろんな本から何からいろいろあるから。

村田

そうですね。常に勉強してますよね。

江口

理事長のお話しもホントに様々な分野にわたっていて勉強になるというか、面白いんです。

村田

ですから江口さんの影響もわれわれ、受けてますし。今、理事長の影響も受けられてるということで、お互いいい関係。

江口

そうですね。私もまたご提案して、どんどん変わっているときですから。今言ったように図書館っていう名前は図書館だけども、今名前が付けにくい空間っていうか、場所になってるんですよね。
そんな場所にどんな家具が今後必要とされるか。あるいは逆にこういう家具を入れると新しい場所になるっていうようなものを提案すれば、逆に福祉会さんっていうのはやってみようって、そういう気風があるので。提案したい提案先なんですよね。

村田

デザイナーって結構自分のコンセプトを全面的に押し出す方がいらっしゃるじゃないですか。江口さんはそういうタイプじゃないんですよね。だからきちんとわれわれの現場の意見であったり機能であったり、利用のことをきちんと吸い上げていただいて、そこからデザインを起こしてくれてるので。それはすごくありがたいです。

国重

ほんとに助かります。

村田

やっぱり臨機応変に対応してないといけないことって出てくるんですよね。それをきちんと汲み取って動いてくださるんで、それはすごくわれわれとしては、開発の部分としてはやりやすくてありがたいですよね。

江口

とにかく自分のデザインを押し通すというのは、化学変化が起きる余地、面白さがないんですね。そうではなく、その図書館の司書の人たちの考えが入ることで、椅子っていうのは、家具っていうのは最終的にはどこにいくのかなっていうのも楽しいんです。それでできたものが面白いんじゃないのかなと。
一応、想定はしてますけどね(笑)。自分の考えだけではない新しいものができる可能性を残しておいた方が好きなんですね。

村田

だから江口さんと一緒にやるとやっぱり、おこがましいんですけど、ほんとに、僕らも一緒に作り上げていくっていうような感じでやってるので。ですからやっぱり、できて、注文いただいたときにやっぱりうれしいですよね。

江口

今日は長い時間、お付き合いいただきありがとうございました。今後もよろしくお願い致します。

対談者プロフィール紹介
村田 和也
城西大学卒業。京都造形芸術大学卒業。埼玉福祉会では図書館家具の営業及び施工管理を担当。二級建築士。
国重 清香
芝浦工業大学卒業。埼玉福祉会では図書館家具のレイアウトプランを作成。設計デザイン担当。インテリアコーディネーター。